2012年6月29日金曜日

La piel que habito/私が、生きる肌


アルモドバルの作品は必ず劇場で見るようにしている。色が綺麗だから大画面で見たい。今日がシネマライズで最終日というので、見てきた。


久しぶりに90年代のアルモドバル節というか荒唐無稽で過激なテイスト。

アントニオ・バンデラスの中年の旨味。エレナ・アナヤの美しさ。Jan Cornetも綺麗な男の子で、まあ、性転換してあそこまでの美しさになるのも、なくはないという感じ。涼しげな目。

アントニオ・バンデラスとエレナ・アナヤとのベット・シーンが、金色の刺繍を施した藍色のシーツに浅黒い肌と白い肌が生えて、絵画みたいで美しかった。
あと赤の使い方。ベラ(エレナ・アナヤ)が赤いシーツに横たわるところはゴヤの裸のマハみたいに豪華で、ロベルト(アントニオ・バンデラス)が彼女とテレビ越しに向かいに横たわるシーン!!!!素敵!

娘を死においやったビセンテに穴を作ったところまでは復讐の意図があって、で、どうせ作るなら愛する人の顔に→顔が同じだともうしんぼうたまらん!
なのか、
ビセンテを車で追跡して、誘拐したときに、意図は決まっていたけど、彼がヘルメットを取ってロベルトと向き合ったときに、もうロベルトは既に彼に欲情してしまったのか

私は後者だと思うんだよね。
となると本当に変態だ。

だってだいたいいくらガラ(元妻)の顔をしているからって、自分にそんなことした人を愛するわけないじゃないか。
わからないはずないだろうに。
ある意味本当にどうしようもなく不器用なのか、自殺願望があって、元妻またはベラ(どっちを愛していたのだろう。でも絶対彼自身も愛していたと思うんだよね)の手で殺されたかったのか。

あと一点気になったのが、ロベルトが実の弟セカがベラをレイプしてから、さらにベラに欲望しているということ。弟が犯した女性に欲望する。それこそ本当に本当に変態だあ!
セカと駆け落ちしようとしたガラが大やけどをおってロベルトが必死に看病するのも、だいたいおかしな話だ。普通その時点で裏切られたという感情から憎むか恨むかするのにより愛が深くなった。

どっからどこまで穴兄弟でどっからどこまで性愛なのか。ロベルトはセカにも欲情しているのか。摩訶不思議な世界。でもそれこそアルモドバルのキカとかセクシリアとかの懐かしい世界観。
アントニオ・バンデラスって丸鼻+三白眼と脂とコッテコテの外見なのに、ここまで孤独で狂気を内包している演技が成り立つなんてすごいな。ハリウッドの彼の使い方を間違えている。まだまだカッコいい。見せる身体意識してちゃんと鍛えてるもん。

セックスで交わる前の彼のベラに対する視線が、良かった。
願わくば、ベラがロベルトを殺した事はしかたなかったにしても、どこか胸に痛みを感じていてほしい。でないと報われない。

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