2013年7月2日火曜日

R.I.P Tony Sopranos

ショック。ジェイムス・ガンドルフィーニ。まだ51歳なのに亡くなってしまった。
ドラァグクイーンを映画で演じるとかいう話を耳に挟んで、楽しみにしていたのだけど。

ザ・ソプラノズ 哀愁のマフィアはシーズン5の終わりくらいまでしか見ていないけど、本当に面白くって大好きなドラマ。

トニー・ソプラノは笑い方がいいの。金を数えてるときは本当に底なしの強欲男で、顔に意地汚い人間性がこれでもかと現れているんだけど、カモとの写真とか、ちょっと照れるとき、何を考えているのか分からなくさせるほくそ笑み、そのときの片方のほほをひきつらせたにやりって笑い方。可愛いんだよね。

マッチョイズムで男尊女卑、男は浮気してもいいものと思っているところとか、(でも女房には頭があがらない)ホモファビアで(でもお務め中はしょうがないらしい。よくわかんないよね)超理不尽な理由で仲間を殺したり。それでもどこか愛らしい、茶目っ気オヤジに感じてしまうのはこの笑顔だと思う。

逆に本当に憔悴しているときは、アイスをカップから食ったり、ジャムを瓶からなめたり、テレビの前でだらーっとなって、表情はなくなって、おとなしくなる。くまちゃんみたい。(本当に背もでかいから大きい!って感じ)

それでいて、年頃で気難しい娘に対しても、怒るときは真剣に怒る。

でも自分の家族には弱くて、お母さん、お姉さん、おじさん、ほっとけばいいのに、愛を求めてしまう。愛憎入り交じりまくり。わざとぶちきれやのお姉さんに喧嘩をしかけたり。お父さんもドンでとても怖い人だったけど、トニーは子どもの頃は気弱でそんなお父さんに圧倒されていた。
でもだからこそ、すべてを手に入れるドンになりえたというか。いろんなことがわかるんだよね。

弱いところも、身勝手なところもあるけれど、決して逃げない。
それが、やっぱりみんなが好きな、心の底からたよりに出来る人。

毎回片時も目を離せないドキドキ感というよりは、あーまた喧嘩してるとか、またはじまったよとか。そんな愛すべき感じ。(ってけっこう殺人多いけど)

だってトニー、超セクシーだと思うもん。
臭そうだけど笑 
愛すべき男気。ここまで男気があったら逆に繊細さなんて求めない。
多いに男性本意なセックスでもう十分、むしろそれを味わいたいよね。

登場人物もとてもいい。オカマみたいな顔の妻カメーラとか。気弱なところもあるけれど、やっぱり極妻なんだよね。トニーが後をつがせたいクリスにお笑い要員、ポーリー。
このクリスとポーリーの組み合わせが最高で、スティーブ・ブシェミが脚本を書いた、森の中でこの2人組が迷うヤツ、すっごく大好きな回。(第三シーズン11話だ。)

これこれ。ふたりとも可愛いの。監督はスティーブ・ブシェミ。

このドラマは、ブシェミの他、クリス役のマイケル・インペリオリも数回脚本や監督を務めていて、そういう仲の良さ、内輪感があのニュージャージーにみんな本当にいそうな、親近感に繋がっていたのかな、と思う。

そういえば、レディ・ガガも息子アンソニーの友達役で出てたなあ。

ちょっとコンプリートせねば!!!

トニー、大好きだったよ。再結成、してほしかったよ。ありがとう。



2013年6月20日木曜日

Lolita/ロリータ キューブリック版よりこっち!

最高に好き!!!!!ロリータの服装、めちゃめちゃ可愛い!三つ編み、三つ編みヘアバンド、寝るときの頭のリボン、セパレートでおなか丸出しのブラトップ、ハイウェストのキュロット、雑に塗られた真っ赤な口紅。キスする度に矯正器具をはずす仕草、まだ成熟しきってない、幼い胸、上気した頬。へらっって笑い方も子供っぽい。きまぐれで、時に残酷。悲しい表情はあまり見せないポーカーフェイス。
対するジェレミー・アイアンズもとてもいい。とっても無様で見ていて苦しい。
メラニー・グリフィスも娘に手を焼くと同時に、美しく成長する娘に女としての嫉妬心が押さえられない様子がぴったりだった。

印象的だったシーンは

Lolita 1997 | Favorite Scenes



サマーキャンプに追い出されるとき、荷物と母親をまたせて大慌てで車から出て、客室にいるハンバートに飛び乗ってキスするところ



頼るべき大人がいなくて、ハンバートの庇護のもとで生活しなければならないロリータが要求を飲ませるためのセックスに嫌気がさし、お金をこっそりためるも、ハンバートに見つかり爆発、逃亡するもおいつめられ、
あきらめたように上半身をはだけさせて、「抱いて」っていうシーン

誰かと会ってキスしたかのようにルージュが乱れていて、後に続くシーンは悲しくて官能的。ベストシーンだと思う。

逃亡計画をこっそりたてているローに半狂乱のハンバートがロリータを犯しながら「誰と会ってたかお願いだから教えてくれ」と泣くシーン。対するロリータはこの状況にケタケタ笑う

男性も密かな欲望が刺激されるだろうし、女性もそうだと思う。
原作が本当に好きで好きで。 かなり忠実で、しかも全体の雰囲気がとてもぴったりだった。でも本のほうがもっとファニーなおもしろい部分がいっぱいあるんだけどね!

頭のリボン!ラズベリーを指にかぶせてアイスクリーム!
Lo's wardrobe



2013年5月30日木曜日

Snowtown/スノータウン

オーストラリア、スノータウン12人殺害事件の映画。登場人物の貧相具合が実にリアル。
主人公ジェイミーの前に現れた母親のボーイフレンド、ジョンが、小児愛者や変態を自らの裁量で痛めつけ、それが殺人にまでエスカレートしていくお話。
でもヒーロー気取りでも、被害者は、障がい者や、社会的弱者ばかりという。

極端なマッチョイズム、男根主義。一番下の弟への愛に対して、障害のある3男に対する態度。ジョンも幼い頃に性的虐待の被害者だったんだろう。
主人公は嫌がりながらも彼の命令に結局従っていて、もう逃げて!と叫びたくなる。
でもジョンから離れない。
簡単そうで、端から見たら、なんでそんなヤツに従うの?逃げれば良い、と思うけど、そこから抜け出すのは実はすごく難しい。
途中110番通報しようとして、電話口で何も言えずに切る。
逃げて、ひとりの生活をして、落ち着いたら、警察に届け出るとかそういった方法もあるかもしれない、でも実際自分がその環境にいたらどうだろう?飛び出せるか。

実際、ジェイミーも殺人幇助で、罪を受けた。でも自分がその場にいて、どうやりようもない環境で、警察に通報して、逃れる事なんて絶対無理だろう。警察なんて次元が違いすぎる。
かといってジョンも幼い頃の性的虐待のせいでこのようなものの見方をするようになった。そのとき助けてくれた大人がいれば。。。そのような考えを鎧のようにして、自分を自分で守らなければ生きていけなかったのだろう。
家のなかでは殺人が行われていて、外では子どもが自転車に乗って遊んでいる。
人によって作り出される狂気の場とのどかな風景のあまりの違いに戦慄。。。すぐそことそこが、全く異世界。

映画については、長い、、、、、、アンド人物関係が親族だったり、パパの前の子供とか複雑。すごく大人数でいつもママの彼氏や彼氏の友達が家に入り浸っている。だれも仕事をちゃとしている人はいなさそう。ヒッピーみたいな風土なのかな。

あと、オーストラリアでは嫌がらせにカンガルーを刻んで、家にぶちまけると。そんなカンガルーってそこらへんにいるもんなんだ。。。。。グロかった〜
オーストラリアの殺人事件をベースにしたガイ・ピアーズが出演した、アニマル・キングダムの方が好きだな。

2013年5月22日水曜日

東邪西毒/Ashes of Time/楽園の瑕

すげー意味不明。。。。特に女の人の区別がつかなくて、なにがなんだか・・・・(男もみんなワンレンヘアだし、誰が誰だか、さっき出た人?って感じで)登場人物の名前が難しくて、どういうつながりになってるのか理解が難しかった。wikiってようやく内容を理解した。
武侠物語というから、きっと中国の古典なのであって、日本でいうヤマトタケルみたいに、中国人なら常識的に知っているものがたりなのかもしれないけど、、、、
北で最強の猛者になった、とか、。。。。。こっちからしたら、で?って感じだし。。。。。剣振り回しただけで、崖が割れられてもなあ。。。。。
けど音楽や映像はとても素敵で、また、印象的な言葉もところどころあって、心に染みた。
特に鳥かごから漏れる光とレスリー・チャンとブリジット・リンのシーン。このブリジット・リンの狂気の女の役も印象的。なにより性格のねじまがったレスリー・チャンが似合っていた!もっとこういう役見たかったな。孤独+性格の悪い役。
トニー・レオンの弱視の剣士役もばっさばっさ人を切り倒すシーンが、かっこ良かった。

上海灘/上海グランド

引き続きレスリー・チャンを見ている。この頃の彼は、こういう男男しい印象なのかな?最初にブエノスアイレスとかから入ったので(まあこれも女っぽくはないけれど、筋金入りのナチュラルな感じだけど)意外な感じ。
アンディ・ラウ若い!!!そして1930年代の上海…みんなスーツとかシルクハットとか衣装がもうカッコいい。
内容は、マジでカッコつけ過ぎなレスリー・チャンの役柄だけど、麗しい彼だからまだ成り立つのかな。
台湾反日兵士として、上海にわたったのに、アンディ・ラウとの急接近はもっと描写が欲しかった。
しかし立派なブロマンス。ちゃんとレスリーとアンディのダンスシーンなんかもある。ひとりの女をめぐっての争いも、命の恩人だからこそ思い切り行けない、そんな設定も良かった。
アンディは指をつめているんだけど、小指だけの革手袋がかっこ良かった。
にしてもなんか中国映画の食べるシーンって手でつかんだり指なめたり野獣実溢れていて、汚くてヤなんだけどなんか面白い。

2013年5月14日火曜日

The International/ザ・バンク 堕ちた巨像



映像はスタイリッシュでかっこいいが、人はかっこよくない。
かっこよくないといっても、見た目はめちゃめちゃカッコいい。
映していいのかってくらいクマと荒れた肌の酷くやつれたクライブ・オーウェンはクチャセクシーだし、ナオミ・ワッツも無駄に装飾していなくて(色気要素もなくて)いい感じ。
かっこよくないのは、人間性。とことん人間臭くて。正義は勝つじゃなくて、運は味方してくれないの。正義感の塊のような主人公が思わず感情で行動してしまったり。
といっても、それが、リアルなんだよな~

スタイリッシュな映像というのは、NYグッゲンハイム美術館での銃撃戦。あんな美しい銃撃戦見た事ない。真っ白で螺旋状の美術館で駆け抜けながら撃ち合う。上からさがる鏡に映る相手を窺いながら進めていく緊張感。シャンデリアを撃ち落として狙撃手の上にガラスの雨が降るシーンは圧巻。
あと、イスタンブールのエジプシャンバザールの上で目標を追いつめるシーンも。

ちょっとこれ、007スカイフォールが演出が似ている気がした。
このエジプシャンバザールの上での銃撃戦と、あと重要機密をやりとりするのに、美術館のベンチを使うところとかね。

でも、国際銀行のトップの描かれ方がちょっと単純すぎるというか、実際そんなわけ絶対ないと思う。あんなトップが直接汚い仕事に手を染めると思えないし、ちょっとつっこみたくなったけど、やっぱりこの監督、トム・ティクヴァは躍動感があるシーンの映像がとても良いと思う。

2013年5月10日金曜日

霸王別姬/さらば、わが愛

同性愛(というか愛憎入り交じる兄弟的関係)と芸術家としての人のあり方、京劇の歴史、戦争、民主主義の時代の流れといろんな重い要素がすべてひとつにまとめられていて、とにかく長い!!!どうしても全部入れなくちゃいけなかったのかしら?つめこみすぎじゃない?京劇と新自由演劇の対立の下りはなんだかもうよくわかんなかったよ。。。

でも、すごく素敵だった〜
レスリー・チャンの役所、蝶衣は宿命づけられた色気というか。環境がその色気の芽を美しく咲かせるに適していたというか。。。。多くは語らない寡黙な表情がより切なくて。。。音も立てずに涙を流すの。目の色気が本当にハンパない。
コン・リーも演技がすごくうまかった。蝶衣と小楼の仲を引き裂いた菊仙とずっと犬猿の仲だったけど、蝶衣のアヘン中毒を経て、菊仙が蝶衣のお母さんのような存在になったように思えたとたんに、暴動があって、菊仙を裏切ったときのあの、なにか言いかけるんだけど、何も言わずに去る表情。

赤、金、刺繍にパールの髪飾り。各場面ではスモークが炊かれていて、すべての場面が美しい。なによりレスリー・チャンが本当に美しい。

最後はちょっと悲劇的すぎるけど、文学的なこの作品にはあってるのかもしれない、けど、もうちょっと若いならまだしも設定ではけっこう年なのに、そういう最期ってあまり美しくない←手厳しすぎ?

いやあ本当にこんなに美しい男の人がいるのかと思いました。素敵でした。